【活動報告】北海道の高校の授業「総合的な探求の時間」支援を実施

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能登半島地震の教訓を北海道・日高町へ:富川高校オンライン講演会を実施しました!

2026年度、当NPOは道立北海道富川高校(日高町)にて高校2年生対象の「総合的な探究の時間」の支援を行っています。

 2026年7月7日、同校の「水と日高町のつながり学習プロジェクト」において、保屋野理事長によるオンライン講演「水と防災 能登半島地震から学ぶ地域の自立とコミュニティ形成」を実施いたしました。

 本記事では、講演内容の要点と、生徒たちへ伝えたメッセージ、そして本講演を通じて期待される生徒たちの変化をご報告いたします。

1. 講演実施の背景とこれまでの取り組み

 今年度の富川高校2学年「総合的な探究の時間」では、本講演に先立ち、生徒たちが地域の水インフラを「自分事」として捉えるための授業カリキュラムを当NPOの現地会員による支援のもと実施してきました。本探究では富川高校が日高町の指定避難所になっていることと、配水区域末端で災害時に復旧が遅れる地域特性があることから、校内の受水槽設備を活用し、災害時の応急給水拠点としての役割を機能強化するため探究活動に取り組んでいます。

 感性へのアプローチ:富川高校図書指導員の野澤氏による、水道関連絵本の読み聞かせ

 知識のインプット:当NPO現地会員による、北海道胆振東部地震の教訓や受水槽方式の仕組みに関するオンライン講演

 現場の可視化:校内の地下受水槽やポンプ設備などを実際に見学し、停電時の課題を確認するフィールドワーク 

 これらの活動を通じて生徒たちは「当たり前に水が出る仕組みとその脆弱性」を学んできました。さらに7月7日、能登半島地震の被災地で起きたリアルな教訓から「地域の自立」について深く考えてもらうため、現地での活動を担当してきた保屋野理事長による講演を、1・2年生を対象に実施いたしました。

2. 講演の要点:能登半島における「水道ショック」の現実

 7月7日の講演ではまず、能登半島を襲った2024年1月の地震と同年9月の豪雨という“ダブル災害”の過酷な現実を伝えました。

 石川県では最大11万戸が断水し、中には復旧までに1年7ヶ月を要した地区もありました。この「水道ショック」は、過疎で災害リスクの大きい地域に大規模な管網(線の水道)を広げた結果であり、地形条件が悪く人口の少ない地区ほど復旧が後回しになるという厳しい現実を浮き彫りにしました。保屋野理事長は、こうした地域には独立した「分散型システム(点の水道)」が必要であることを生徒たちに解説しました。

3. 住民の力で立ち上げた「自分たちの水道」〜珠洲市馬緤(まつなぎ)地区〜

 続いて、絶望的な状況下で自らの手で水と命を守り抜いた珠洲市馬緤地区の事例を紹介しました。

 直ちに自主避難所を立ち上げる:完全孤立状態の中、自衛隊の到着を待たずに集落ごとの自主避難所を6カ所設営し、安否確認を実施しました。

 「自分たちの水道」をつくる:住民の池の水を軽トラで運んで煮沸し、さらに池から避難所まで農業用パイプでつないで常時通水する手作りの水道を完成させました。

  豪雨災害も乗り越える:9月の豪雨で再度断水した際も、自分たちでパイプの継ぎ目を修繕して復活させました。

 地域住民たちはこの経験から、自前で水源を確保し既存の水道管につなぐ「馬緤型分散型システム」を考案し、国や市に提案するまでの行動力を発揮しました。

4. 生徒たちへ伝えた「防災」の新しい視点

 本講演の結びとして、従来の「自助・共助・公助」という枠組みを超え、防災をダイナミックな「学ぶ過程」として捉え直すことを生徒たちに提案しました。

  1. 知る力: 北海道胆振東部地震など、過去の災害情報を知ること。

  2. 想像する力: 長期断水下で、人々がどのような生活を強いられたかを想像すること。

  3. 創造する力: 馬緤地区の住民のように、与えられた環境で生き抜く仕組みを自ら創り出すこと。

  最後に「『断水』してもその町に暮らし続けられますか?」という究極の問いを生徒たちに投げかけました。

5. 生徒からの感想

 これまでのフィールドワークと今回の講演が結びつくことで、生徒たちからは以下のような深い気づきや感想がありました。感想を抜粋してお届けします。

・地震の話で、日本は地震が多い国なのは分かってるけど、実際に大きな地震が来たら自分も色んな人もびっくりして何をしたらいいかわからなく、パニックになる人が多いと思うから、事前に、いつ来てもいいようにいろんなものを準備しておいて、大きな地震がきて大変になったとき

は、自分のことだけじゃなく周りの人とも協力し合いながら生活しようと思いました。地震以外でもいろんな自然災害があるから、大変なときは一人だけで行動するのではなく、周りや、お年寄りの方のことも考えて行動しようと思いました。

どうしたらもっと被害を抑えられる事ができるのかということを調べてみたいと思った。最新の技術(AI)などを活用して情報が早く伝達できるようにしたりするにはどうしたらよいかなどということを調べてみたいと思った。

・能登半島の震災について詳しくわかってとても良かったです。知らなかった被害も知ることができたし、その当時の地域のつながりや協力が見えて、すごいなと思った。他の地域でもその地域の利点を活かした一時的な復旧方法があればいいなと思った。

6. 今後も当NPOは同校の探究学習活動を支援

 今回の講演は、生徒たちにとって「自立と共助」の真の意味を突きつけられる深い学びの時間となりました。

 当NPOは今後も、富川高校の「応急給水計画」策定などの探究学習に対し、生徒たちの「創造する力」を引き出すための技術的支援を継続して実施いたします。今回、北海道富川高校の皆さんと共に、これからの地域のあり方について深く考える機会を持てたことを大変嬉しく思います。

 オンライン講演の実施に際し、多大なるご協力をいただいた加藤裕樹先生をはじめ、関係者の皆様、そして私たちの話を真剣に受け止め、地域のため何か行動したいと考えてくれた生徒の皆さんに、心から感謝申し上げます。

「自分たちの町をどう守るか」という難しいテーマに、生徒の皆さんがまっすぐ向き合う姿はとても頼もしく、私たちにとっても大きな刺激となりました。これからも、地域の未来をともに「創造する」パートナーとして、末永くご一緒できれば幸いです。(白石)

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