11月6日(木)・7日(金)の2日間にわたり青森市で開催したCWSC 第16回 粗ろ過・緩速ろ過セミナーin青森 (2025)-縄文遺跡の地で「おいしい水道水」の秘密をさぐる-が、ねぶたの家ワ・ラッセ内を会場に、全国各地からの参加者はじめ近隣の水道事業体職員の方々、青森市水道部職員の方々、CWSCスタッフ含め約50名が参加して盛況のうちに終えることができました。
開催にあたっては西秀記・青森市長(代・赤坂寛副市長)からご挨拶をいただき、日本一おいしいと評価される水道水に対する矜持が伝えられました。
一日目の講座では、市水道部の各担当者より、水道事業のあゆみ、おいしさの源泉となっている緩速ろ過の横内浄水場水源地での植林事業および保全の歴史的経緯はじめ、現在課題となっている気候変動にともなう原水濁度上昇対策として前処理施設の設置を検討していることや、ジアルジア対策に後処理の紫外線照射を行っていること、また、大規模浄水場と小規模浄水場の管理運用の違いなど、さまざまなテーマによる詳細な報告と解説がなされました。
CWSCからは、おいしい水を生成する生物のメカニズム(中本理事)、粗ろ過が濁り対策と掻き取り頻度対策としてどれくらい有効か(三田理事)といった内容で解説。今回初めて、ろ材メーカー2社(㈱トーケミ、日本原料株式会社)からは、各社の最先端の技術開発情報を共有いただきました。そして、昨年のセミナー開催地・山口県宇部市水道局からは、セミナーおよびCWSCの運用改善提言書を受けての一年間の試行および成果について報告がありました。
講座の最後の質疑応答では、意見も含め活発な討議の時間となり、一日目はとても内容の濃い有意義な座学となりました。ときおり上階から響いてくるねぶたの太鼓にも活気づけられたかもしれません。
情報交換会は、津軽三味線や歌、いきなりねぶたの撥ねが始まるような会場で、和気藹々と活発な交流の場となりました。
2日目は、横内浄水場の現地見学。当日は青森の冬の入り口を感じさせる寒風の中でしたが、市内から30分ほどの八甲田連峰山裾に位置する広大な浄水場にて、緩速ろ過池群を一巡しながら寒冷対策や運用状況、後処理の紫外線照射施設内も見学、㈱トーケミによる粗ろ過実験施設含め施設全体の説明を受けました。浄水後の水道水の試飲は、市内の水道水ともに確かに「おいしい」と実感する味わいでした。
午後のエクスカーションは三内丸山遺跡。縄文時遊館で発掘ランチを食した後、ボランティアガイドさんの案内で広いムラを一周し、約6000年前から数千年間続いたという異空間探訪を楽しみました。
当セミナーにおいては、青森市の助成(バス移動費)はじめ、準備段階から当日まで水道部職員の方々総出によるサポートを頂戴しましたことを、心より感謝申し上げます。
(写真はいずれも青森市水道部撮影・提供)